英タイムズ激怒「日本さあ、花見させてくれないのに五輪やるのかよ？電通や菅のせいで感染するより友人と花見して感染の方がまだいい」

花見は、日本の四季折々の行事のなかでも私がとりわけ大切に思ってきたもののひとつだ。
花の美しさも、人々が上機嫌になる姿も好きだからだ。
長く荒涼とした冬が終わり、自然が息を吹き返すときの感覚もある。

そこには生死の真理が、命を持った者の形をとって目の前で繰り広げられるかのような趣がある。
死には生が続き、寒さの後には暖かさが戻り、苦しみも悲しみもやがて和らぐ。
多くの宗教や芸術の中核にある、あの約束や慰めがそこにはあるのだ。
とはいえ今年の花見を中止にすべきことは、私も理解しているし、受け入れている。
たとえ桜の花の下で酒を飲む楽しみがどんなに大きくても、
それは“スーパースプレッダー・イベント”を実施するリスクに見合わないからだ。

「花見は好きだけれども、それを犠牲にするつもりだ。なぜならその犠牲で救われる人命があるのだから」

これが私たちの多くの思いだろう。

なぜ東京五輪は例外なのか
それならば、ここで今年開催予定のもうひとつの大規模なイベントについても考えてみようではないか。

それは花見とは異なり、屋外だけでなく屋内での実施もかなりあるイベントだ。
花見とは異なり、海外から数万人が来訪することになる。

たとえ検査の実施やソーシャル・ディスタンスを徹底しても、
東京オリンピックがコロナウイルスを拡散する可能性は、
桜の花の下のピクニックよりもはるかに大きいのだ。
それなのに東京五輪は実施に向かって進んでいる。
なぜオリンピックは例外なのか。
どうして運動競技や水泳などが好きな人は、
私たちがさまざまな形で強いられている犠牲を強いられないのか。

この問いの答えは、世論にはない。
世論調査では、日本人の大半がオリンピックの今夏開催に否定的であることが一貫して示されてきた。
この問いの答えは、言うまでもなく政治とカネなのだ。

オリンピックは、単に優れたアスリートを祝す大会ではない。
それは権力と威信とブランディングを発揚する舞台であり、
公衆衛生の問題は二の次になってしまうのだ。

そのことはしばらく前から明らかではあったが、
先月（2月2日）、東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長（当時）の
森喜朗がはっきりさせてくれた。

「コロナがどういう形であろうと必ずやる」

「犠牲の分担」は公平かつ公正か
日本の人は、完全なロックダウンも完全な自由も求めていない。
一定の集団活動の実施を許可すべきこともわかっており、
私たち全員の利益のためには犠牲がやむをえない場合もあると心得ている。

だが、日本の人には、そうした犠牲の分担が公平かつ公正におこなわれることを望む権利もあるはずだ。

突き詰めていえば、これは利己心をめぐる話なのだ。
なぜ大規模なスポーツ大会が好きで、そこから利益を得られる人たちが犠牲を払うことを免れるのか。
なぜ多数派の要望が無視されるのか。

仮に新型コロナウイルスに感染する人が出るのだとしても、
なぜわざわざオリンピックをそのきっかけにする必要があるのだろうか。

仮に私が発症し、自分の命が危険にさらされるなら、
それは友人と桜の花の下に座ったから、という理由のほうがまだいい。
VISAやコカ・コーラ、電通、菅義偉のためにそうなるのは勘弁してほしい。