夜の市役所で女性消防団が放水訓練。背景にベッドタウンが抱える問題。暴れるホース抱え2時間でへとへとに

なぜ？夜の市役所で女性消防団が放水訓練　背景にベッドタウンが抱える問題
9/21(日) 14:10配信

西日本新聞

夜のとばりが降りた福岡県飯塚市役所本庁前。来庁者はいないはずだが、照明がともされた駐車場にりんとした女性の声が響く。実はこれ、7日に嘉麻市で開かれる県女性消防操法大会に向けた飯塚市消防団女性分団の訓練だ。夜間営業の飲食店も多い市中心部。なぜ放水を伴う訓練をしているのだろうか。探ってみるとベッドタウン化の加速に伴い市が抱える、ある問題が背景にあった。　（金田達依）

「操作始め」。8月22日午後7時過ぎ、ハキハキしたかけ声に続き、「活動服」に身を包んだ4人の女性が一斉に動き出した。俊敏な動作で仮設水槽にホースを入れ、残るホースを持って前方へ駆ける。つなぎ目をしっかり結節すると約6メートル先に立つ火を模した二つの的（高さ約2メートル）に放水。54秒で「鎮火」させた。

女性分団は2010年に創立。現在1隊あり、自営業者や公務員の約30人が所属する。イベントや交流サイト（SNS）を通じて消防団のPRに取り組み、災害時などに被災者支援も担う。消火活動には出動しないが、自動体外式除細動器（AED）の使い方など救命技術を磨く。栗田真紀分団長は「いざというときに市民を救えるよう備えている」と胸を張る。
2時間の練習でへとへと

操法大会には11人が参加。県内の3チームと競う。ポンプを展開してから的を倒すまでの速さや規律の正しさが評価対象だ。

ただ、市の女性分団はポンプを扱わない。そのため、6月以降、退勤後の午後7時から消防署員の指導を受け、週3回程度練習に励む。ホースにかかる水圧は男性団員の8割程度に若干弱まるものの、力を入れて持たないとホースは暴れる。2時間の練習でへとへとになるという。

しかし、なぜ市役所前駐車場なのか。市防災安全課は「消防団活動のPR」を挙げる。

同課によると、市の消防団員はこの10年で約2割減り928人。市内はベッドタウン化が進み、福岡市などへ通勤する市民が増加。高齢化もあって日中に稼働できる団員が減少した。結果、特定の団員に負担が集中。人手不足から近年豪雨時の避難呼びかけに時間を要する傾向にあるという。

「市民の関心引ける」

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